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木造住宅の耐震性能や地震波に対するwallstatのシミュレーション結果の傾向と分析

ホームズ君「構造EX」では、建築基準法や住宅性能表示制度(品確法)の耐震等級、許容応力度計算など、設計者の要求レベルに応じた耐震性能を設計することが可能です。これらのデータに対して、2017年4月に発売された「wallstat連携オプション」により、国土交通省国土技術政策総合研究所の中川貴文氏が開発した倒壊解析ソフトウェア「wallstat」を用いたシミュレーションを容易に行うことができるようになりました。

そこで、各耐震性能の住宅に対し、実際に起きた地震の地震波を与えたらどのような損傷が生じるか、wallstatによるシミュレーションを行い、傾向を整理し分析して、下記のレポートにまとめました。

シミュレーションの条件(概要)

検証する耐震性能

  • 旧耐震基準(1981年以前)相当
  • 新耐震基準(1981年~2000年)相当
  • 強化新耐震基準(2000年以降)相当
  • 住宅性能表示 耐震等級2
  • 住宅性能表示 耐震等級3
  • 許容応力度計算(標準せん断力係数C0 = 0.2)
  • 許容応力度計算(標準せん断力係数C0 = 0.3)
  • 許容応力度計算(標準せん断力係数C0 = 0.5)

検証する地震波

  • 平成 7年(1995年) 兵庫県南部地震 「JMA神戸」
  • 平成 7年(1995年) 兵庫県南部地震 「JR鷹取」
  • 平成28年(2016年) 熊本地震 「益城町役場4月14日」 (前震)
  • 平成28年(2016年) 熊本地震 「益城町役場4月16日」 (本震)
  • 人工地震波
     ※「建築基準法の限界耐力計算で規定する極稀に起こる地震動の応答スペクトルに適合したもの」
       (wallstatマニュアルより)
     ※本レポートでは、建築基準法(1981年以降)の想定する「極めて稀に発生する地震」とみなす。

結果(概要)

  1. 余力の考慮について
    構造EXの連携機能を用いたwallstat結果において、建物の余力を考慮しない場合、実際の熊本地震の被害と比較して、損傷が大きく、倒壊や大破が多い。一方、余力を考慮する場合、実際の熊本地震の被害に比較的近くなる。
      ⇒wallstatで観測地震波に対してシミュレーションを行う場合、余力を考慮して行う方が実情に
       即していることが確認できた。
  2. 地震波について
    構造EXの連携機能を用いたwallstat結果(余力を考慮した場合)は、基準法極稀地震波では損傷が小さいが、観測地震波では損傷が大きい。
      ⇒設計時には、基準法極稀地震だけでなく、実際に起きているような大地震も想定するのが
       望ましいことがwallstatの結果から確認できた。
  3. 耐震性能について
    構造EXの連携機能を用いたwallstat結果(余力を考慮した場合)において、損傷が大きい観測地震波に対しても、耐震等級3や許容応力度計算(C0=0.3)以上の住宅では倒壊を免れる傾向があるが、これらより低い耐震性能では倒壊や大破が多い傾向がある。
      ⇒耐震等級3や許容応力度計算(C0=0.3) 以上が地震被害を
       小さくするために望ましい事がwallstatの結果から確認できた。