一般診断・精密診断1・限界耐力計算の評点比較分析 その三
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一般診断・精密診断1・限界耐力計算の評点比較分析 その二でいくつかの傾向を確認した。
その中で、特に注目したいのは、以下の2つの結果である。

◆関連項目◆
一般診断・精密診断1・限界耐力計算の評点比較分析その一
一般診断・精密診断1・限界耐力計算の評点比較分析その二
考察
精密診断と一般診断の評点比較で述べたように、精密診断と一般診断の評点に大きな差がでる場合があるが、これは各診断法の保有耐力を求める方法の違いによると考えられる。精密診断と一般診断の保有耐力を求める方法の中で、以下の項目について比較・検討を行った。
| ① | 有開口耐力壁 | その他耐震要素の耐力 |
| ② | 偏心率と床の仕様による低減係数 | 耐力要素の配置・床仕様による低減 |
| ③ | 壁劣化低減係数 | 劣化度 |
①有開口壁耐力(その他耐震要素の耐力)
精密診断で「有開口壁耐力」を求める方法は、各開口壁の耐力を積み上げて算出するが、一般診断で「その他耐震要素の耐力」を求める方法は、必要耐力の25%として計算している。この違いが評点に影響していると考えられる。
精密診断と一般診断の「有開口壁耐力(その他耐震要素の耐力)」の求め方と特性について以下に示す。
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精密診断で「有開口壁耐力(Qww)」を求めるには、「壁基準耐力(Pwo)」と「壁長さ(L)」、「開口部低減係数(Ko)」、「低減係数min(Cf、Cdw)(接合部低減係数と壁劣化低減係数の小さい方)」を乗じて求める。
参照)「木造住宅の耐震診断と補強方法」P52
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ここで、
| Qww | :有開口壁の耐力 |
| Pwo | :壁基準耐力 |
| L | :壁長さ |
| Ko | :開口低減係数 |
| Cf | :接合部低減係数(壁端部柱の柱頭・柱脚金物の仕様による低減係数) |
| Cdw | :壁劣化度低減係数(壁の劣化による低減係数) |
参照)「木造住宅の耐震診断と補強方法」P26、P29
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ここで、
| Pd | :保有する耐力 |
| Pe | :その他の耐震要素の耐力 |
| E | :耐力要素の配置等による低減係数 |
| D | :劣化度による低減係数 |
| Pe | :その他の耐震要素の耐力 |
| Qr | :必要耐力 |
②配置による低減
精密診断では、偏心率と床の仕様により低減係数を求めるのに対し、一般診断では4分割法で低減係数を求めることがほとんどである。この方法の違いにより評点への影響が発生すると言える。例えば、低減係数を精密診断(偏心率)で求めると低減されないが、一般診断(4分割法)で求めると大きく低減されてしまう場合やその逆の場合もあり、そうした場合に評点の差がでると考えられる。
精密診断と一般診断の配置低減の求め方と特性について以下に示す。
精密診断における「偏心率と床の仕様による低減係数(Fe)」は、以下の式により求める。
参照)「木造住宅の耐震診断と補強方法」P74
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ここで、
| Fe | :偏心率と床の仕様による低減係数 |
| Fep | :偏心率による低減係数 |
| Fef | :壁仕様による低減係数 |
さらに、偏心率による低減係数Fepに着目したい。Fepは偏心率Reに応じて以下より求める。
(Re≦0.15) ・・・・・・・Fep=1.0
(0.15<Re≦0.45) ・・Fep=1.0 / (3.33Re+0.50)
(0.45<Re) ・・・・・・・Fep=0.5
上記の式により求められる低減係数Fepと偏心率Reの関係は次のようになる。

図1 偏心率(Re)から低減係数(Fep)を求める図
図1を見て分かるように、「偏心率(Re)による低減係数(Fep)」は、偏心率(Re)が0.15を超えると低減され、偏心率(Re)が0.45を超えると、低減係数(Fep)は0.50となり、大きく低減されてしまう。
一般診断における、「耐力要素の配置等による低減係数(E)」は4分割法と床仕様により、表1と表2から求める。
参照)「木造住宅の耐震診断と補強方法」P32
表1 耐力要素の配置等による低減係数(4分割法における充足率)
| 1/4範囲 (上/左部分) |
0.00~0.32 | 0.33~0.65 | 0.66~0.99 | 1.00~ | |
| 1/4範囲 (下/右部分) |
床仕様 | ||||
| 0.00~0.32 | Ⅰ | 1.00 | 0.70 | 0.60 | 0.60 |
| Ⅱ | 1.00 | 0.50 | 0.45 | 0.45 | |
| Ⅲ | 1.00 | 0.30 | 0.30 | 0.30 | |
| 0.33~0.65 | Ⅰ | 0.70 | 1.00 | 0.80 | 0.75 |
| Ⅱ | 0.50 | 1.00 | 0.80 | 0.75 | |
| Ⅲ | 0.30 | 1.00 | 0.75 | 0.75 | |
| 0.66~0.99 | Ⅰ | 0.60 | 0.80 | 1.00 | 1.00 |
| Ⅱ | 0.45 | 0.80 | 1.00 | 1.00 | |
| Ⅲ | 0.30 | 0.75 | 1.00 | 1.00 | |
| 1.00~ | Ⅰ | 0.60 | 0.75 | 1.00 | 1.00 |
| Ⅱ | 0.45 | 0.75 | 1.00 | 1.00 | |
| Ⅲ | 0.30 | 0.75 | 1.00 | 1.00 |
表2 床仕様と床倍率の関係
| 床仕様 | 診断項目 | 床倍率 |
| Ⅰ | 合板 | 1.00 |
| Ⅱ | 火打ち + 荒板 | 0.63 |
| Ⅲ | 火打ちなし | 0.39 |
低減係数(E)は、4分割法により、両端1/4範囲内の充足率の組み合わせから低減係数を算出する。表1を見ると、1/4範囲の両側(左右または上下)の充足率が1.00以上になった場合には低減がされていない。つまり、仮に上側1/4範囲の充足率が1.00で、下側1/4範囲の充足率が1.80と偏っていたとしても、低減係数は1.00となり、低減されない。また、4分割法では1/4分割線付近に壁が存在するような場合、当該壁の中心線が1/4範囲内(線上を含む)に含まれていれば算入し、そうでなければ算入しないということになり、このことが充足率に影響するので、精密診断(偏心率)で求めた低減係数と、一般診断(4分割法)で求めた低減係数に差がでてしまう場合がある。さらに、一般診断(4分割法)ではL型や凸型平面等不整形な平面形状の場合であっても、最外縁より1/4の部分をもとに算出するので、両端1/4範囲の充足率に差が生じ、不整形の建物の場合は大きく低減されてしまうことがあるので、やはり、低減係数に差がでてしまう要因となっている。


補足)「耐力要素の配置等による低減係数(E)」を偏心率から求める方法
一般診断では、「耐力要素の配置等による低減係数(E)」を求める方法として、4分割法の他に、偏心率による方法も用意されている。表3を見て分かるように、一般診断では、偏心率が0.3を超えると低減される。(精密診断では、偏心率が0.15を超えると低減される(図1))
表3 耐力要素の配置による低減係数(偏心率)
| 床仕様\偏心率 | 0.00~0.30 | 0.30~0.60 | 0.60~ |
| Ⅰ | 1.00 | 0.70 | 0.60 |
| Ⅱ | 1.00 | 0.50 | 0.45 |
| Ⅲ | 1.00 | 0.30 | 0.30 |
③劣化度について
精密診断と一般診断の劣化低減係数について比較すると、一般診断では、劣化点数が大きい場合には、保有耐力が3割(劣化低減係数0.7)低減されることが分かる。しかし、精密診断においては、前述したとおり、評点に影響することが少ない。
精密診断と一般診断での劣化低減係数の求め方と特性について以下に示す。
精密診断の「有開口壁耐力Qww」を求める式は以下のようになる。
参照)「木造住宅の耐震診断と補強方法」P52
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| Cdf | :壁劣化度低減係数(壁の劣化による低減係数) |
| Cf | :接合部低減係数(柱頭・柱脚金物の仕様による低減係数) |
低減係数の部分に着目すると、低減係数は「壁劣化度低減係数(Cdw)」と「接合部低減係数(Cf)」の小さい方の値を採用することになっている。第一世代(1981年以前)の住宅は、ほとんどの場合、接合部に金物が使用されることは少なく、接合部仕様がⅢまたはⅣの金物になることが多い為、「接合部低減係数(Cf)」が採用されることが多い。このことから、精密診断では劣化による低減係数が評点に影響することは少ないと考えられる。
第一世代(1981年以前)の住宅は、

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一般診断では、劣化状況を調査し、劣化点数を合計した上で、以下の式により劣化低減係数を求める。
参照)「木造住宅の耐震診断と補強方法」P34
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※ただし、算出結果が0.7未満となった場合は、0.7を低減係数とする。


