劣化の軽減|ホームズ君よくわかる木構造

劣化の軽減

評価・表示項目

劣化の軽減については、以下の8項目の基準が設定されています。

イ.外壁の軸組等の防腐防蟻
ロ.土台の防腐防蟻
ハ.浴室・脱衣室の防水
ニ.地盤の防蟻
ホ.基礎の高さ
ヘ.床下の防湿・換気
ト.小屋裏の換気
チ.構造材等(建築基準法の劣化の軽減に関する項目)

等級の水準

等級3 構造躯体が3世代(75年~90年)もつ程度の対策
等級2 構造躯体が2世代(50年~60年)もつ程度の対策
等級1 建築基準法に定める対策

等級のポイント

等級3 イ~チの8つの基準を全て満たす必要があります。
「イ.外壁の軸組み等の防腐防蟻」及び「ハ.浴室・脱衣室の防水」の一部基準のみ等級2より厳しくなります。
等級2 イ~チの8つの基準を全て満たす必要があります。
等級1 「チ.構造材等の基準」を満たす必要があります。
建築基準法の劣化の軽減に関する項目(施行令第37条、第41条、第49条)を満たすこと。

等級の基準一覧

等級1等級2等級3
事項目標 建築基準法に定める対策 構造躯体が2世代(50~60年)もつ程度の対策 構造躯体が3世代(75~90年)もつ程度の対策
イ.外壁の軸組等の防腐防蟻 構造、材種、薬剤処理により防腐防蟻措置を行う 要件を満たす
ロ.土台の防腐防蟻 水切り、材種、薬剤処理により防腐防蟻措置を行う 2等級要件を満たす 3等級要件を満たす
ハ.浴室・脱衣室の防水 仕上げ等の防水上の有効措置を行う 2等級要件を満たす 3等級要件を満たす
ニ.地盤の防蟻 基礎の内周部及びつか石の周囲の地盤に防蟻措置を行う 要件を満たす
ホ.基礎の高さ 地面から基礎上端まで400mm以上 要件を満たす
へ.床下の防湿・換気 防湿上有効な材料で覆いかつ換気措置を行う 要件を満たす
ト.小屋裏の換気 屋根断熱工法か換気措置を行う 要件を満たす
チ.構造材(建築基準法) 令状第37,41,49条を満たす 要件を満たす

項目別基準解説

イ.外壁の軸組等防腐防蟻の基準

等級2

下図に示す外壁の軸組等のうち地面からの高さ1m以内の部分に、次のa~cのいずれかの防腐・防蟻措置を行うこと。

ただし、北海道及び青森県では、防蟻処理は要さない。

a.外壁を通気構造等とする

b.外壁の軸組等の各部位ごとに、次のいずれかの措置を行う

部位措置
製材、集成材等を使用し、薬剤処理
耐久性区分D1の樹種の製材、集成材等を使用
小径が12.0cm以上の製材、集成材等を使用
柱以外の軸材・下地材(間柱・筋かい・胴縁等) 製材、集成材等を使用し、薬剤処理
耐久性区分D1の樹種の製材、集成材等を使用
合板 構造用合板等を使用し、薬剤処理

c.その他a、bの措置と同等以上と確かめられた措置を行う

図 外壁の軸組み等
図 外壁の軸組み等

外壁部の柱、間柱、筋かい又は合板、下地材(胴縁を含む)等(薬剤処理を行う場合は柱・間柱の木口、ほぞまで行い、柱の室内側の見えがかりは行わない)

等級3

上図に示す外壁の軸組等のうち地面からの高さ1m以内の部分に、次のa~cのいずれかの防腐・防蟻措置を行うこと。

ただし、北海道及び青森県では、防蟻処理は要さない。

a.外壁を通気構造等とし、かつ、外壁の軸組等の各部位ごとに、次のいずれかの措置又はこれらと同等以上と確かめられた措置を行う

部位措置
製材、集成材等を使用し、薬剤処理
耐久性区分D1の樹種の製材、集成材等で小径が12.0cm以上の材を使用
小径が13.5cm以上の製材、集成材等を使用
ロ.土台の基準のaの樹種(D1の特定の樹種)を使用
柱以外の軸材・下地材(間柱・筋かい・胴縁等) 製材、集成材等を使用し、薬剤処理
ロ.土台の基準のaの樹種(D1の特定の樹種)を使用
合板 構造用合板等を使用し、薬剤処理

b.外壁を通気構造としない場合は、外壁の軸組等にK3相当の防腐・防蟻処理を行う。

c.その他a、bの措置と同等以上と確かめられた措置を行う

ロ.土台の防腐防蟻の基準

等級2・3共通

土台は、土台に接する外壁の下端に水切りを設け、かつ次のいずれかの防腐・防蟻上有効な措置を行うこと。

1. 土台に、ヒノキ、ヒバ、ベイヒ、ベイスギ、ケヤキ、クリ、ベイヒバ、タイワン、ヒノキ、ウェスタンレッドシーダーのいずれかの樹種の製材を用いる(これらの他に同等と見なされるものについてはJASの運用によります)

2. K3相当の防腐・防蟻処理(ただし北海道、青森県はK2相当以上の防腐処理)

ハ.浴室・脱衣室の防水の基準

浴室の軸組等・床組・天井、脱衣室の軸組等・床組は、つぎのいずれかの防水措置を行うか、又はイ.外壁の軸組等の防腐の基準(等級2)の措置を行うこと。

a.防水上有効な仕上げを施したもの

b.浴室は、JISA4416に規定する浴室ユニットとするもの

c.その他a、bと同等の防水上の有効な効果があると確かめられた措置

ただし、下図のように1階の浴室廻りで「布基礎の上にコンクリートブロックを積み上げて腰壁とした部分」又は「コンクリート造の腰高布基礎とした部分」を除く。

図 布基礎の上にコンクリート
		ブロックを積み上げて腰壁とした部分
図 布基礎の上にコンクリート
ブロックを積み上げて腰壁とした部分
図 コンクリート造の腰高布基礎とした部分
図 コンクリート造の腰高布基礎とした部分

防水措置及び防腐措置の留意点は、次の1、2によること。

1. 防水措置の場合の留意点

防水上有効な仕上げとは、ビニールクロス、ビニール床シート等が挙げられます。

また、下地にも、耐水性のある下地材(耐水石膏ボード、耐水合板等)を用いることが有効です。

2. 防腐措置の場合の留意点

防水措置を行う場合は、浴室の軸組等・床組・天井、脱衣室の軸組等・床組に行います。

浴室又は、脱衣室が2階以上にある場合、床組の下地板まで防腐措置を行って下さい。

等級3

防水措置については等級2と同じ。

防腐措置を行う場合は、イ.外壁の軸組等の防腐の基準(等級3)の措置を行うこと。

ニ.地盤の防蟻の基準

等級2・3共通

基礎の内周部及びつか石の周囲の地盤に、次のいずれかの防蟻措置を行うこと(※)。

(※:この基準は、北海道、青森県、岩手県、秋田県、宮城県、山形県、福島県、新潟県、富山県、石川県、福井県には適用しない)

ただし、基礎断熱工法を用いる場合はaに限る。

a.地盤を鉄筋コンクリート造のべた基礎又は布基礎と鉄筋で一体となって基礎の内周部の地盤上に一様に打設されたコンクリートで覆う

鉄筋コンクリート造のべた基礎の他、地盤を布基礎と鉄筋で一体となって基礎の内周部の地盤上に一様に打設されたコンクリートで覆ったものは、防蟻に有効と見なされます。

図 コンクリート造の腰高布基礎とした部分
図 布基礎と鉄筋で一体となって基礎の内周部の地盤上に一様に打設されたコンクリート

b.防蟻に有効な土壌処理を施す

(社)しろあり対策協会認定の土壌処理剤、(社)日本木材保存協会認定土壌処理用木材防蟻剤、又はこれと同等の効力を有するものとします。

土壌処理を行う部分は、外周部基礎の内側及び内部布基礎の周辺20cm並びに束石等の周囲20cmとします。

c.a、bと同等の防蟻性能があると確かめられた措置

a、bと同等の性能があるものには、床下土壌面からのシロアリの侵入を阻止する防蟻効果を有するシートを床下の土壌表面に敷設する工法などがあります。

1. 防水措置の場合の留意点

防水上有効な仕上げとは、ビニールクロス、ビニール床シート等が挙げられます。

また、下地にも、耐水性のある下地材(耐水石膏ボード、耐水合板等)を用いることが有効です。

2. 防腐措置の場合の留意点

防水措置を行う場合は、浴室の軸組等・床組・天井、脱衣室の軸組等・床組に行います。

浴室又は、脱衣室が2階以上にある場合、床組の下地板まで防腐措置を行って下さい。

等級3

防水措置については等級2と同じ。

防腐措置を行う場合は、イ.外壁の軸組等の防腐の基準(等級3)の措置を行うこと。

ホ.基礎の高さの基準

等級2・3共通

地面から基礎上端までの高さを400mm以上とすること。

ヘ.床下の防湿・換気の基準

等級2・3共通

床下に、次のa(防湿)かつb(換気)の措置を行うこと。

a.床下の防湿措置

基礎断熱工法以外の場合、床下を、以下のいずれかの防湿上有効な材料で覆ってください。

1) 厚さ60mm以上のコンクリート

2) 厚さ0.1mm以上の防湿フィルム

3) 1)、2) と同等の防湿性能があると確かめられた材料

基礎断熱工法の場合、基礎断熱工法でbの換気口を設けない場合は、床下を、以下のいずれかの防湿上有効な材料で覆って下さい。

1) 厚さ100mm以上のコンクリート

2) 厚さ0.1mm以上の防湿フィルム(重ね幅を300mm以上とし、厚さ50mm以上のコンクリート又は乾燥した砂で押さえたもの)

3) 1)、2) と同等の防湿性能があると確かめられた材料基礎断熱工法に用いる断熱材は、温熱環境基準における地域区分、断熱材の区分に応じ、次の表の厚さを確保して下さい。

地域断熱材の種類
A-1,A-2BC,D,E
Ⅰ地域65mm60mm50mm
その他の地域35mm30mm25mm
b.床下の換気措置

外壁の床下部分に、以下のいずれかの換気口を設けてください。

1. 壁の長さ4m以下毎に有効面積300c㎡以上の換気口

2. (ねこ土台の場合)壁の全周にわたって1m当たり有効面積 75c㎡以上の換気口

3. 1.2.と同等の換気性能があると確かめられたもの

ただし基礎断熱工法とし、aの基準を満たしたものは、換気口を設ける必要はありません。

【参考】

換気口を設置する場合の留意点

ねこ土台を用いる場合の留意点

防湿フィルムを施工する場合の留意点

ト.小屋裏の換気の基準

等級2・3共通

小屋裏には、次のいずれかの換気措置を行うこと。

ただし、屋根断熱工法等により小屋裏が室内と同等の温熱環境にある場合は、この基準を適用しない。

a.小屋裏給排気

屋外に面する小屋裏の壁の換気上有効な位置に2以上の換気口を設けたものとし、換気口の有効面積の天井面積に対する割合を1/300以上として下さい。

図 1

b.軒裏給排気

軒裏の換気上有効な位置に2以上の換気口を設けたものとし、換気口の有効面積の天井面積に対する割合を1/250以上として下さい。

図 2

c.軒裏給気・小屋裏排気

軒裏に給気口を設け、かつ屋外に面する小屋裏の壁に排気口を垂直距離で90cm以上離して設けたものとし、給気口及び排気口の有効面積の天井面積に対する割合をそれぞれ1/900以上として下さい。

図 3

d.軒裏給気・排気塔排気

軒裏に給気口を設け、かつ小屋裏の頂部に排気塔塔の排気口を設けたものとし、給気口及び排気口の有効面積の天井面積に対する割合をそれぞれ1/900以上、1/1,600以上として下さい。

図 4

チ.構造材等(建築基準法)の基準

等級1・2・3共通

建築基準法の劣化の軽減に関する項目(令第37条、第41条、第49条)を満たすこと。

1.令第37条(構造部材の耐久)

構造耐力上主要な部分で特に腐食、腐朽又は摩損のおそれのあるものには、腐食、腐朽若しくは摩損しにくい材料又は有効なさび止め、防腐若しくは摩損防止のための措置をした材料を使用しなければならない。

2.令第41条(木材)

構造耐力上主要な部分に使用する木材の材質は、節、腐れ、繊維の傾斜、丸身等による耐力上の欠点がないものでなければならない。

3.令第49条(外壁内部等の防腐措置等)

木造の外壁のうち、鉄鋼モルタル塗その他軸組が腐りやすい構造である部分の下地には、防水紙その他これに類するものを使用しなければならない。

構造耐力上主要な部分である柱、筋かい及び土台のうち、地面から1m以内の部分には、有効な防腐措置を講ずるとともに、必要に応じて、しろありその他の虫による害を防ぐための措置を講じなければならない。

用語の解説

通気構造等に該当するもの

1. 通気層を設けた構造(壁体内に通気経路を設けた構造で、外壁仕上げと軸組等の間に中空層を設けるなど、軸組等が雨水に接触することを防止するための有効な措置が行われているもの)

2. 軒の出を90cm以上とした真壁構造(柱が直接外気に接する構造 )

集成材等に該当するもの

1. 集成材のJASに規定する化粧ばり構造用集成材

2. 構造用集成材のJASに規定する構造用集成材

3. 構造用単板積層材のJASに規定する構造用単板積層材

4. 枠組壁工法構造用たて継ぎ材のJASに規定する枠組壁工法構造用たて継ぎ材

薬剤処理

有効な薬剤を塗布、加圧注入、浸漬、吹き付け、接着剤に混入したものを言います。

1.現場処理の薬剤の例

・JISK1570(木材防腐剤)に適合するクレオソート油の規格品又は(社)日本木材保存協会認定の防腐剤

・(社)しろあり対策協会又は(社)日本木材保存協会認定の防腐・防蟻剤

2.工場処理による防腐・防蟻処理材の例

・JASの保存処理(K1を除く)の規格に適合する保存処理材

・JISA9108(土台用加圧式防腐処理木材)の規格に適合する保存処理材

・JISK1570に定める加圧注入用木材防腐剤、又は(社)日本木材保存協会認定加圧式防腐処理を行った木材

・認証木質建材(AQマーク表示品)として認証された保存処理材

耐久性区分D1

針葉樹の構造用製材のJAS、広葉樹製材のJAS、枠組壁工法構造用製材のJASに規定する耐久性区分D1に区分される製材又はこれにより構成される集成材等で、次の樹種をいいます。(これらの他に同等と見なされるものについては、JASの運用によります。)

ヒノキ、ヒバ、ベイヒバ、ケヤキ、アピトン、ウェスタンラーチ、ウェスタンレッド、シーダー、カプール、カラマツ、クヌギ、クリ、ケンパス、スギ、セランガンバ ツ、タイワンヒノキ、ダグラスファー、ダフリカカラマツ、タマラック、パシフィッ クコーストイエローシーダー、ベイスギ、ベイヒ、ベイマツ、ミズナラ

構造用合板等に該当するもの

1. 構造用合板のJASに規定する構造用合板

2. 構造用パネルのJASに規定する構造用パネル

3. JISに規定するパーティクルボードのPタイプ

4. JISに規定する繊維板のうちMDF(ミディアムデンシティボード)のPタイプ

K3(K2) 相当以上の防腐・防蟻

針葉樹の構造用製材のJAS、広葉樹製材のJAS、枠組壁工法構造用製材のJASに規定する保存処理の性能区分のうち、K3(K2)以上の防腐・防蟻処理 をいい、JISK1570に規定する木材保存剤又はこれと同等の薬剤を用いて、K3(K2)以上の薬剤の浸潤度及び吸収量を確保する工場処理その他これと 同等の性能を有する処理を含みます。

参考

換気口を設置する場合の留意点

1. 湿気がこもりがちな床下のコーナー部付近に換気口を設けると効果的です。

2. 床下が常に乾燥するように、換気口はできるだけ高い位置に設けてください。

3. 外周部の換気口から雨水が流入しないように、換気口下端は外下がりに勾配を付けて下さい。

4. 間仕切壁の下部が布基礎の場合は、通風、点検のために換気口を必ず設けて下さい。

5. 基礎を強固に保つため、換気口まわりは斜め筋等により有効に補強して下さい。

ねこ土台を用いる場合の留意点

ねこ土台によって床下換気を行う場合には、構造上支障が生じないようねこ部分の間隔、アンカーボルトの位置等について十分検討することが必要です。また、ねこ部分の材料については性能及び品質が明らかなものを使用して下さい。

防湿フィルムを施工する場合の留意点

床下地面前面にJISA6930(住宅用プラスチック系防湿フィルム)、JISZ1702(包装用 ポリエチレンフィルム)もしくはJISK6781(農業用ポリエチレンフィルム)に適合するもの又はこれらと同等以上の効力を有する防湿フィルムで厚さ 0.1mm以上のものを敷きつめて下さい。

防湿フィルムの重ね幅は150mm以上とし、防湿フィルムの全面を乾燥した砂、砂利又はコンクリート押さえとして下さい。

基礎と取り合う部分等の防湿フィルムの周辺部は立上りをつけて下さい。

図 防湿フィルム
図 防湿フィルム

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