一般診断・精密診断1・限界耐力計算の評点比較分析 その1|ホームズ君よくわかる木構造
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耐震診断

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2012年改訂版
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一般診断・精密診断1・限界耐力計算の評点比較分析 その1

[一般診断・精密診断1・限界耐力計算の評点比較分析 その1 | その2 | その3

国土交通省住宅局建築指導課監修、(財)日本建築防災協会発行の、2004年改訂版「木造住宅の耐震診断と補強方法」は、工学的な分析で耐震性を評価する精度の高い診断方法です。

株式会社インテグラルでは、上記の基準に準拠したソフトとして、ホームズ君『耐震診断Pro』を開発し、販売しておりますが、ソフトのご提供とあわせて、ユーザ様に、これらの診断法に関連する情報をご提供させていただき、お施主様が十分に納得いただけるような診断業務へとつなげていただきたいと考えています。そこで、弊社では、耐震セミナーを積極的に開催し、ソフトの操作方法だけでなく、診断方法についての説明も積極的に行ってきました。

そのセミナーでご好評をいただいてきました評点比較分析の内容をホームページにも掲載させていただきます。内容は、弊社のサポートデスクに多くよせられた評点に関するご質問の多かったものを抽出し、それらへの疑問をベースにしておりますので、耐震診断・補強設計に携わる方々に、関心の高いテーマになっています。なお、この分析には、弊社ソフトのモニター制度をご利用されたみなさまからのデータを活用させていただきならが、実物件での検証を重ね、丁寧に評点を算出しました。

これらの診断法で耐震診断を行う方々に、広く参考にしていただきたいと考えています。


◆関連項目◆

一般診断と精密診断1 - 正確な耐震診断・補強設計の実現には、精密診断1が優れている -

一般診断は、新基準では、”補強の必要のありなしを判断するためのもの”と位置づけられており、簡易的な診断であるため、安全側(評点は低めに)出るといわれていますが、実際は、この限りではありません。”精密診断で評点を出したら、評点が下がった”とか、”精密診断で補強計画し、壁を増やしたのに評点が下がった”などという話がよく聞こえてきます。
ここでは、一般診断と精密診断1の特長をご理解いただき、より正確な耐震診断・補強設計を行うためには、精密診断1が優れていることをご紹介します。

おさらい 一般診断法と精密診断1の違い

分析の前に、両診断方法の違いをまとめておきます。

  一般診断  精度★ >>詳細 精密診断1  精度★★★ >>詳細
必要耐力 ・略算法
・精算法(品確法と同じ考え方です。)
・略算法(一般診断の精算法と同じ考え方です。)
・精算法(基準法施行令88条)
保有耐力 開口部 必要耐力の25%
開口の幅・高さに応じて
保有耐力 最大値 9.8kN/m
14kN/m
筋交の位置・強さ
不明を許す(1.96KN/m) 明確であること
劣化 建物全体 部位単位(壁、柱)
配置バランス
4分割法 偏心率
床仕様
3択(Ⅰ合板 Ⅱ火打荒板 Ⅲ火打無し) 細分化(品確法的) 床/屋根/火打水平構面
現地調査
(筋交・接合金物)
調査時間
目視が基本
  ・
(1.5hから2.0h)
目視及び必要に応じて破壊
天井裏・床下・小屋裏より目視
(2.5hから3.0h)

分析 一般診断の算定条件を変え、評点を算出し、比較する

>>詳細資料(一般診断法、精密診断法1による評点のバラツキに関する考察)

分析の目的

一般診断と精密診断、その評点には、どのような特性、また注意点があるのでしょうか。実際に、いくつかの条件を設定し、評点を比較してみました。

<分析1> ある物件について、次のような5つのケースについて、それぞれ、評点を算出しました。

一般診断法 評点のバラツキ
※Case4では四分割法を、Case5では偏心率を使用しています。
  • 一般診断の略算法では、精算法よりも1階の評点が低くなる傾向がある。
  • 一般診断は、平面形状によるばらつきが大きい。 (耐力のバランスを四分割法により考慮するため)
  • 筋かい(明確・不明)において、必ずしも「不明」の場合が評点が低いというものでない。

<分析2>10の物件について、それぞれの評点を算出しました。

一般診断法 評点のバラツキ
  • S56年以前の住宅金融公庫仕様の建物は、大多数が、「壁量=基準法ギリギリ」「柱金物=無し」である。
  • 一般診断と精密診断とでは、相関関係はない。
  • 劣化の評価(低減)が、総合評価へ与える影響が大である。
  • 一般診断は調査者の個人差によるばらつきあり(主に劣化の評価による)。
  • 精密診断は、診断者によるバラつきが少ない。

まとめ

  • 一般診断略算法では、評点が低めにでる傾向がある。よって、一般診断なら、精算法を用いるべき。(略算法は、あくまでも手計算のためのものである)
  • 一般診断と精密診断の評点で、必ずしも一般診断が低いとは限らない。(劣化度やバランスの評価方法の違いによる)
  • 精密診断は調査者によるばらつきが少ない。よって、精密診断は、最も精度が高い。補強計画は、精密診断で行うべき。

精密診断1と限界耐力計算 - 限界耐力計算は、建物条件や補強工法により、ケースバイケースで -

限界耐力計算は、2000年にできた新しい考え方です。
構造計算の専門家向けとされ、主にRC構造の建物について適用されてきましたが、2004年改訂版「木造住宅の耐震診断と補強方法」でも盛り込まれ、木造住宅おいても利用されていく段階になってきました。
また、ホームズ君『耐震診断Pro』でも、【限界耐力計算オプション】を実装しましたので、これを利用していただくにあたって、是非知っておいていただきたい特性と注意点についてご紹介します。

おさらい 限界耐力計算

限界耐力計算は、比較的新しい手法です。解説されている図書等としては、次のものがあります。
ホームズ君『耐震診断Pro』の【限界耐力計算オプション】は、2004年改訂版「木造住宅の耐震診断と補強方法」(★)に対応しています。

限界耐力計算に関する参考図書等の一覧
建築基準法施行令第82条6 (限界耐力計算)
平成12年建設省告示1457号
2000年施行
『木造住宅の耐震診断と補強方法』    

監修 国土交通省住宅局建築指導課
発行 財団法人日本建築防災協会
2004年8月発行
 
『木造軸組工法住宅の限界耐力計算による設計の手引き』    

編集 木造軸組工法住宅の限界耐力計算法解説書編集委員会 (委員長 坂本功 東大名誉教授)    
発行 日本住宅・木材技術センター
2005年3月発行
 
『2001年版 限界耐力計算法の計算例とその解説』          

編集 国土交通省住宅局/建築研究所/建築センター他
2001年3月15日発行
 
『伝統工法を生かす木造耐震設計マニュアル             
限界耐力計算による耐震設計・耐震補強設計法』   

編集 木造軸組み工法建物の耐震設計マニュアル編集委員会
(委員長 鈴木祥之 京大教授)
2004年3月30日発行

分析 物件や補強方法ごとに、精密診断1と限界耐力計算で、それぞれ評点を算出し、比較する

分析の目的

精密診断1と限界耐力計算の評点を比較することで、限界耐力計算の特性、注意点を概観します。

<分析1> 15の物件について、第2種地盤として、それぞれの評点を算出しました。

精密診断1と限界耐力計算 評点比較

・ 限界耐力計算では、精密診断1に比べ、評点がやや低くなる傾向あり。
(限界耐力計算で用いる地震力は、建築基準法施行令第88条の地震力とも異なる考え方を採用しています。限界耐力計算の地震力は、Sao:応答スペクトルやFh:減衰による加速度の低減率により決まるため、地盤種別の影響を大きく受ける。)

<分析2>地盤の種別を「第1種地盤」として、それぞれの評点を算出しました。

精密診断1と限界耐力計算 評点比較

・2、3にみられるように、基準書(『木造住宅の耐震診断と補強方法』)診断例のB建物では、精密診断1と比較するとどちらの診断結果もほぼ同じ割合で評点が低くなる。

・5、6、7にみられるように、各診断方法により、補強方法ごとに結果の評点が異なってくる。
6は面材耐力壁で補強しているが、限界耐力計算の評点は、5の現状時より低い評点となっている。
7は制振部材で補強しているが、限界耐力計算の評点は、精密診断1の評点を上回っている。

まとめ

建物の条件や補強方法によって、どの診断方法で評価すべきか、慎重に判断する必要がある。

国土交通省住宅局建築指導課監修、(財)日本建築防災協会発行の、改訂版「木造住宅の耐震診断と補強方法」

【診断法の種類】

診断法 ホームズ君
『耐震診断Pro』対応
対象
一般診断法
建築士・建築関係者
精密診断法 [1] 保有耐力診断法(精密診断法1)
建築士
[2] 保有水平耐力計算による方法(精密診断法2)
-
[3] 限界耐力計算による方法(精密診断法2)
○(オプション)
[4] 時刻歴応答計算による方法(精密診断法2)
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